大学別データベース

大学名
キエフ国立言語大学

ウクライナ
地域
NIS諸国
原語または英語名
Kiev National Linguistic University,Київський національний лінгвістичний університет
学部

構成(組織・教員数・学生数)
日本語学科には「翻訳・通訳コース」と「言語・文学教授コース」の2つのコースがある。ウクライナの日本語学科のある大学で2つのコースを設けているのは ここだけである。コースは1年次の時点で分けられる。2年次以降は教育学等の授業も履修できる。ネイティブ教員2名の他およそ15名の教員がいるが、教員 職への定着率が低く、中途退職者が後をたたない。現状では、博士号を有していない教員も多い。その理由として、博士号取得のために口頭試問を行える審査教 官の資格を持つ教授が少ないことがある。博士号か留学経験を有していることが教員になる条件となっている。
日本語学習の主たる目的
日本語や日本についての知識重視
必修科目
総合日本語、日本事情、日本語音声学、日本語文法等。
日本人教員情報
2名。現地採用の日本語母語話者と国際交流基金派遣の専門家。
目標とする日本語のレベル
N2以上のレベルを目標としているが、卒業時はN3レベルの学生が多い。
必須科目の使用テキスト
『みんなの日本語1・2』を使用。1年間で『みんなの日本語1』終了後『みんなの日本語2』を始める。授業は1コマ80分、1年間で約30週。
卒業生の進路
第二外国語として勉強している英語を使う職に就くことが多く、日本語を使う仕事や日本語研究を目指す者はわずかである。
学習上の困難点
教員以外の日本語ネイティブ話者がウクライナにはあまり多くいないため、国内で日本語を使用する機会が乏しい。
大学院

構成
日本語関係の研究をしている学生は1名のみ。
研究領域・方向性
言語学学科、教授法の学科、教育学科、文学科で日本や日本語の研究を行うことができる。
コースの特徴
(ウクライナでは、修士課程までが学部、それ以上が大学院となる。)
大学院は3年間。
博士候補資格試験(哲学、英語、専門科目)に合格し、論文が審査を通ると、博士候補生(candidate)になることができる。
学位授与
日本語関係でこれまでに博士候補取得者(candidate)は1名。現在はキエフ言語大学の教員である。
卒業後の進路
留学経験がなければ日本語に関わる仕事に就くことはほとんどない。
留学

位置づけ
3年次の1年間に留学する学生は少なくなり、50人中1名程度である。日本の大学と交換留学協定を結んでいないため、留学する場合は日本の文科省支給の国 費留学となる。国費留学生はキエフ国立言語大からは毎年1,2人ほど送っている(ウクライナ全体で3,4人程)。
提携大学
なし。
留学に対する意識・条件・選抜
国費留学生には日本語能力検定2級以上の語学力が必要とされる。(大学の勉強だけでは、3年ではこのレベルに至れない。留学に関しては、学生個人の努力に委ねられているところが大きいようである。
留学後の学生の状況
単位互換できないため、卒業年が留学によって1年遅くなる。留学の経験を生かして日本語教師など、日本語に関わる職業に就く学生もいる。
その他情報

調査協力者
オリガ・ゴルノフスカ(キエフ国立言語大学大学院生、キエフ国立言語大学元日本語学科講師)
調査者
谷口龍子(東京外国語大学国際日本研究センター准教授)
調査日

資料

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その他
歴史:ソビエト時代には、サンクトペテルブルグとモスクワに東洋学科を持つ大学があったが、ウクライナ独立に際して、ウクライナ国内にも同様の学科を設ける必要性があった。キエフ国立言語大学で日本語教育が始まったのは1989年からである。当時すでに中国語と朝鮮語の教育が行われており、それらを担当する教員がそれぞれの言語を教える傍ら日本語教育を始めたのがきっかけである。

日本語の人気:英語、西欧諸語やトルコ語は、就職など実用的な理由で人気があるが、日本語の場合は、最近の日本のポップ・カルチャーの影響が主な学習動機として挙げられる。また、日本や中国など漢字文化圏が異国情緒の対象となっていることもある。さらに、中学校の地理の授業などで日本の車や電化製品の質の良さを学ぶことなども、日本に対する良いイメージ、延いては日本語を学ぶ動機へとつながっているようである。
外大関係者情報
交換留学協定を結ぶことを希望する。キエフ国立言語大学には外国人のためのロシア語学部があり、ロシア語を学ぶ学生を受け入れることができる。